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『私は一人で暮らす』が生んだいちばん温かい名前、コッブニ

ク・ソンファンの愛犬コッブニ、「涙」で伝えた最後のあいさつ

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写真:MBC「私は一人で暮らす」

MBCのバラエティ番組私は一人で暮らすは、数々のスターの日常を照らしてきたものの、大衆の胸に濃い残像を刻むことはそう多くなかった。ところが最近、俳優ク・ソンファンの愛犬・コッブニへの最後のあいさつが多くの人の心を揺さぶり、胸を熱くしたと受け止められている。

スクリーンやお茶の間で主に荒々しい悪役を務めてきた俳優ク・ソンファンの、いかつい体格と強い印象の裏に隠れていた、小さく白い綿玉のような愛犬への無限の愛情は、視聴者に新鮮な驚きと深い感動をもたらした。初登場時の笑顔から、虹の橋を渡った後に流した涙まで、なぜ人々がここまでク・ソンファンとコッブニの物語に深く共感し、熱い関心を寄せたのかを振り返った。

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写真:MBC「私は一人で暮らす」

人々がコッブニにまず引き込まれたポイントは、何よりもク・ソンファンとコッブニが見せた極端な視覚的コントラストだった。2021年、俳優イ・ジュスンの仲良しな近所の兄貴分として私は一人で暮らすに初登場したク・ソンファンは、体格に似合わぬ繊細な家事スキルや独特な日焼け止めの洗い流し方で注目を集めた。そんなク・ソンファンの日常には、いつもコッブニが寄り添っていた。

低く荒めの声の“漢”が、コッブニの前では舌足らずな声になってオロオロする姿。がっしりした体で小さなベビーカーをそっと押したり、自転車のカゴに乗せて街を走る光景は、完璧な「ギャップ萌え」を生み出した。見た目とは裏腹に、愛犬の前では限りなく優しく気配りのできるク・ソンファンの姿に新鮮な好感が集まり、飼い主の胸におとなしく抱かれてキラキラした瞳を向けるコッブニの愛らしさに、誰もが心を許した。

コッブニは、バラエティによく登場する芸達者な“天才犬”ではなかった。飼い主が食事をするときに隣で静かに見つめ、自転車に乗るときは風を感じ、散歩では匂いを確かめる――ごく普通の愛犬だった。この“ふつうさ”こそが、視聴者にとって最大のヒーリング要素として働いたようだ。

ク・ソンファンは自身のYouTubeチャンネルや番組を通じて、飾らない日常を共有してきた。ひとり暮らしの気忙しさのなかで、コッブニは単なるペットを超えた、人生の欠かせない相棒だった。食事のときも、眠るときも、運動するときも、ク・ソンファンの視線の先にはいつもコッブニがいた。条件や打算のない、存在そのものをよりどころにし合う関係は、競争と孤独に疲れた現代人に、家族の意味と温かな疑似満足を伝えたと受け止められている。

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写真:MBC「私は一人で暮らす」

永遠に続くと思われたふたりの日常は、今年2月に届いた突然の訃報で止まった。ク・ソンファンが自身のインスタグラムで「娘であり妹であり、相棒のコッブニが2月14日に虹の橋を渡った」と明かし、コッブニの死を伝えたのだ。行間からにじむ呆然とした思いと深い悲しみは、コッブニへの愛の深さを如実に物語っていた。

コッブニの死に、人々は自分のことのように胸を痛めた。普段から親交の深いイ・ジュスン、イ・ジャンウら同業者はもちろん、画面越しにコッブニの日常を見守っていた多くの視聴者も共に涙した。その後、ク・ソンファンは愛犬を失った悲しみ、いわゆる“ペットロス症候群”を乗り越えるため米国へ渡航。「2週間、本当に死ぬかと思った」と打ち明けたくだりは、ペットと暮らす多くの人の深い共感を呼んだ。コッブニの死は一芸能人の私事を超え、ペットを家族として迎え見送るこの時代の普遍的な痛みとして受け止められた。

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写真:MBC「私は一人で暮らす」

ク・ソンファンとコッブニの物語は、24日に放送された私は一人で暮らすで、最も悲しくも美しい句点を打ったと報じられた。ペットロスを乗り越えるべく446kmの国土縦走に挑んだク・ソンファンは、豪雨を突いて歩く険しい道のりのなかでも、手首のコッブニのブレスレットを何度も撫でさすった。

目的地の釜山・広安里海水浴場に到着し、力が抜けて座り込む場面がクライマックスだった。かつてコッブニと思い出を重ねたその海で、ク・ソンファンは「その日以来、一度も見られなかった」として、2カ月ぶりにスマートフォンの中のコッブニの姿を開いた。抑えきれない嗚咽のなかでも、「ちゃんと行けたよね。また会おう。友だちと楽しく遊んで」と海に向かって叫んだ最後のあいさつは、視聴者の涙腺をとめどなく刺激した。a0

人々がコッブニを愛した理由は、単に犬がかわいいからではなかったはずだ。荒波の世を生きるごつい男の心のいちばん柔らかく温かな部分を引き出してくれた存在、そして互いにとって完璧な宇宙になれたその純粋な関係へのエールだったのではないか。

コッブニは虹の橋の向こうへ旅立ったが、乾いた時代を生きる私たちに、無条件の愛とは何か、喪失の痛みとどう健全に向き合い乗り越えるのかという重いメッセージを残していった。a0